育児サロンのよしです。
家族や自分に万が一のことがあったら、残された家族のためにどれだけのお金を準備しておくべきなのでしょうか?
僕は以前保険の担当の方に「子どものいるパパは2000万円の死亡保障がオススメです」と言われるがままに加入していたことがあります。
しかし、個人的にFPの勉強をしまして、僕が死んだときに家族に必要な保証を手計算してみたところ合ってなくてショックを受けた記憶があります。
案外周りでも自分の家族のための必要保障額が分からずに困っている方は多いようです。
実はすごく簡単にできるので、自分の必要保障額を計算する方法をご紹介します。
この記事を読んでいただくと、2000万の保険で大丈夫とか大丈夫じゃないとかが明確に分かりますので、ご参考にしていただけると幸いです。
必要保障額とは?
必要保障額とは、簡単にいえば死亡保険金です。
残された家族が生活していくために最低限必要なお金から、遺族年金などのもらえるお金を差し引いた金額が必要保障額です。
メモ
【必要保障額=家族に必要なお金-入ってくるお金】という式で計算します。
家族に必要なお金とは、残された家族の生活費、子どもの学費などの教育資金などがあたります。
つまり万が一の時に備えて必要保障額(死亡保険金)を用意しておかなければ、残された家族は苦しい生活を強いられることになります。
逆に、過剰な保険に入って保険料を払いすぎており、現在の生活をひっぱくさせてしまっている場合もありますので、あらかじめ試算しておくことがとても大切です。
夫の必要保障額(死亡保険金)について
会社員の夫45歳 妻35歳 子どもA(10歳)、B(5歳)という家族構成で、
夫が45歳で亡くなった場合の残された家族の必要保障額(死亡保険金)を計算してみます。
これは一般的な方法なので、子どもが大学進学しなかったとか、結局大学院まで行くことになったというように、将来のプランは変わってきますので若干の誤差は出てしまいますが、万が一に備えてどのくらいのお金を準備しておくべきかを予測するには最も正確に計算できる方法です。
特に現時点で、いくらの必要保障額を用意すればいいのかが明確に分かります。
計算式は【必要保障額(死亡保険金)=家族に必要なお金-入ってくるお金】です。
まず、夫が亡くなった場合を想定し
【家族に必要なお金=遺族の生活費+子供の学費】
の計算式で家族に必要なお金を先に計算します。
遺族の生活費はいくら?
具体的に見ていきましょう。
子どもAが大学卒業し就職するまでの12年間は3人分(妻、子A、子B)の生活費がかかります。
12年経つと、子どもAの生活費は不要になります。
その後、子どもBが就職するまでの5年間は2人分(妻、子B)の生活費がかかります。
17年たち、子どもが二人とも巣立った後は、女性の平均寿命(87歳)まで妻一人分の生活費
が35年分必要になります。
まとめると
3人分(妻、子A、子B)の生活費×12年分
2人分(妻、子B)の生活費×5年分
1人分(妻)の生活費×35年分
の合計が遺族の生活費となります。
実際に計算してみましょう
ここで3人分の生活費を30万円、2人分の生活費を25万円、1人分の生活費を20万円とします。
年間の生活費は、3人だと360万円、2人だと300万円、1人だと240万円になります。
合計金額を計算すると、360万×12年+300万×5年+240×35年=1億4220万円です。
次に、学費を見ていきます。
文部科学省が子どもにかかる学費を調査したデータがあるので、そちらを参考に計算した表がこちらです。
学費総額の比較 | |||
■すべて国公立に通った場合 | ■すべて私立に通った場合 | ||
幼稚園 | 649,088 | 幼稚園 | 1,584,777 |
小学校 | 1,926,809 | 小学校 | 9,592,145 |
中学校 | 1,462,113 | 中学校 | 4,217,172 |
高校(全日制) | 1,372,072 | 高校(全日制) | 2,904,230 |
大学 | 2,486,301 | 大学 | 4,577,578 |
総額7,896,383円 | 総額22,875,902円 |
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/005/gijiroku/attach/1386502.htm
(参照:文部科学省 国立大学と私立大学の授業料の推移)
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html
(参照:文部科学省 平成30年度 子供の学習費調査)
もし子ども二人ともすべて私立に通った場合かなり高額な教育費が必要になります。
子どもが10歳と5歳の時に夫が亡くなった場合、それぞれ中学校、小学校へ入学するタイミングが近いのでそこからかかる学費を計算します。
今回はすべて私立の学校に進学した場合でシミュレーションします。
10歳の子は、中学校+高校+大学ということで11,698,980円
5歳の子は小学校+中学校+高校+大学のため21,291,125円かかります。
二人合計して32,990,105円です。3000万を超える学費、なかなかインパクトがありますよね..
家族に必要なお金の合計は?
まずは、【家族に必要なお金=遺族の生活費+子供の学費】という計算式にあてはめると
家族に必要なお金=142,200,000+32,990,105=175,190,105
約1億8000万円もの莫大なお金が必要ということになります。
入ってくるお金は?
入ってくるお金は年金や妻の収入が挙げられます。ひとつずつ見ていきます。
遺族年金
今回のように夫が亡くなった場合、妻は遺族年金を受け取る事が出来ます。
POINT
遺族基礎年金 780,100円
18歳未満の子供:第一子・第二子 各224,500円
第三子以降 各74,800円
年額合計:1,303,900円
遺族厚生年金
また、夫は会社員であるため遺族厚生年金も受給出来ます。
年金の加入月数や年収によって変わってくるのですが、
夫の年収が600万、45歳だった場合年額約55万円ほど受給できる計算になります。
つまり遺族基礎年金と合わせて、年額約1,800,000円受け取れるという訳です。
子どもが巣立った後も手当があったりするので将来にわたってそこまで大きく金額が変動するわけではないので、将来にわたって計算すると180万円×52年(女性の平均寿命まで)=9360万円受け取れます。
60歳老齢以降、老齢年金の方が受給金額が大きい場合は、そちらに切り替える作業が必要になります。
妻の収入
夫に先立たれたら一人ですべての育児家事をしなくてはならないので、なかなかフルタイムで仕事をできるとは限りません。
仕事にもよると思いますが、35歳から60歳まで25年間、年収200万円の収入を得ることを想定して計算します。
200万×25年=5000万円
この時点での妻の生涯収入は5000万円予定ということになります。
入ってくるお金の合計
年金9360万+収入5000万=143,600,000円となります。
必要保障額(死亡保険金)は?
最後に
【必要保障額(死亡保険金)=家族に必要なお金-入ってくるお金】の計算式を使うと
180,000,000-143,600,000=3640万円となります。
とんでもない金額が登場し続けましたので、3640万円と聞くと少しホッとする気がしますが、この金額を死亡保障で用意できているのかはまた別の問題です。
この必要保障額を調べずに「2000万くらいの保険に入っておけば安心だ」と決定するのは少し危険な気もします。
持ち家かどうかで変わる必要保障額
ちなみにここまで計算してきた生活費は賃貸住まいの場合です。
持ち家の場合、団体信用生命保険に加入することになりますので、夫が亡くなった場合住宅ローンの返済は不要となります。
そうすると生活費はもう少し抑えられるようになります。
最後に
いかがでしたか?
共働き世帯に絞って必要保障額の計算をご紹介しました。
この必要保障額は各家庭の状況によって千差万別なので、保険会社のオススメプランに加入するのではなく、なるべく具体的に必要保障額を計算してから適切な保険を選択することをオススメします。
この金額を計算してくれる保険会社もありますが、やたら必要保障額が高額になるような計算式を利用している会社もありますので注意が必要になります。
基礎的な計算はご自身でするのが最も正確になります。