育児サロンのよしです。
仕事をしながら育児と家事もこなす毎日を過ごしていると、親だって人間ですので、日に日にストレスは溜まっていきます。
つい子どもを思っていたよりも怒ってしまったというご経験はあるのではないでしょうか?
また、パートナーに対して不満を抱えているときにタイミング悪く子どもが何かやらかしてしまい、必要以上に怒ってしまうというケースもあると思います。
実は僕もいろんなストレスからか子どもの言動に対して「イラッ」としてしまいキツくあたってしまう時期がありました。
そしてその後は必ず「こんなに怒るはずじゃなかったんだけどな..」と自己嫌悪に陥るんです。
これはさすがに何とかしなければと思い立ち、「怒らない育児」を実践し始めました。
その結果、不思議と子どもに対して怒らずにしつけが出来るようになってきた感覚がありますので、今回はそのお話をご紹介したいと思います。
この記事を読んでいただくと、怒らない育児のメリットも含めた特徴がお分かりいただけると思います。
目次
怒りのメカニズムについて
怒らない育児の前に、まずは何故人は怒るのかという哲学的なお話からスタートします。
人は動物として進化してくる過程の中で喜びや悲しみだけでなく「怒り」という感情を持つようになりました。
つまり怒りというのは、生物が生命活動を続けていくために必要な感情であるということです。
怒ることで自分の身を守ったり、自分の縄張りなどを拡大することが出来るからです。
しかし、人間は知的な生命体です。ただのアニマルではありません。
そこを踏まえた上で、果たして子育てにおいても怒りという感情は必要なのでしょうか?
人は怒りをねつ造する
実は人は瞬時に怒るかどうかの判断をしているのです。
「いやいや、ねつ造なんかじゃなく◯◯という原因があったからとっさに怒ってしまったんだ。仕方ないだろ。」
以前の僕はそう主張していました。
しかし、今流行りのアドラー心理学を勉強したところ考えは変わりました。
例として、以下のシーンを想像してみてください。
①遊びに来た友達の子どもがコップを落としてしまう
②自分の子どもがコップを落としてしまう
①と②で親としてのとっさの対応は全く異なってきませんか?
もし②だととっさに僕は怒っていたと思います。逆に①なら、人の子だし服を濡らしてないか、怪我をしてないかなど心配をすると思います。
つまりこの例から分かるのは、人は怒るかどうかを瞬時に判断しているのであって、「とっさに怒ってしまった、不可抗力だ」という状況は絶対にあり得ないということです。
では何故怒るという選択肢を選ぶの?
先ほどの理論からすると、人はわざわざ「怒る」という選択をしているということになります。
何故そんなことになるのか、結論から言うと「相手に説明するのが面倒くさいから怒りの感情を使う」ということなんです。
先ほどの②の例を振り返ります。
この状況で親が言いたいことは!
・子どもが注意散漫でコップを落としているのでこれからはちゃんと手元に注意しないとならないこと
・コップが割れたら怪我をするかも知れないから子どものことが心配であること、
・飲み物がこぼれたら服を着替えたり床を掃除しないといけなくなるから人に迷惑がかかるから相手のことをちゃんと考えて欲しいこと
だと思います。
結構言いたいことが沢山ありますよね。
でもこれをいちいち説明するのは結構大変だし面倒くさいので、怒ってしまうのです。
怒らない育児を実践するために
怒りの感情は自分で作り出しているということが分かりました。しかし、つい子どもには反射的に怒ってしまうという方もいらっしゃると思います。
そんな時には「怒りの記録」をノートにつけてみてください。
以下のことを書きためていってください。
・怒りを感じた出来事
・その時具体的にどういう風に感じたか
・実際はどうして欲しかったのか
これを繰り返すことによって、自分がどんなときに怒りやすくなるのかが次第に分かってくるようになります。
また、後でノートを見返すと冷静に振り返ることが出来るようになります。
その結果、自分の感情をコントロールする力がついてきて、怒りにまかせて子どもにあたってしまうということがなくなります。
また、何故怒ったのかを客観的に見ることが出来るようになるため、子どもに対して怒りの感情を持ち出すのではなく、何故◯◯してはいけないのかという説明をするように意識が変わり始めます。
怒ることのデメリット
子どもに危険が及ぶときや人に迷惑がかかるときなど、絶対的な禁止事項にあたる場合は怒るのも大事なしつけの一つです。
しかし日常生活の様々なことに対して怒り続けていると、子どもはだんだん自分に自信がなくなってしまいます。
自己肯定感が下がってしまうとも言えます。
また、子どもは「怒られないために行動しよう」とか「怒られたくないから隠そう」というようにネガティブな行動を取るようになります。
それでは主体的に自分の人生を歩める子にはなりません。
怒らない子育ての誤った解釈
怒らない子育ては基本的には子どもの自主性や自己肯定感を高めることが出来る有効な方法です。
しかし一方で怒らない子育てという言葉が一人歩きして、子どもを放置する親が増えているそうなのでそこは誤認しないよう注意が必要です。
例えば、公共の場所で子どもが走り回っていたり、レストランで子どもが大声で騒いでいたり、子どもが他の子のおもちゃを取り上げ泣かせるようなことがあっても、親が子どもを注意しないということがあります。
この容認が「怒らない子育て」であると勘違いしているケースも多いようですが、これは完全に誤りです。
親は子どもを監督する義務がありますので、「怒らない育児=何でも許す」ということではありません。
最後に
いかがでしたか?
個人的には怒りの感情なんて外的要因によりとっさに出て来てしまうと考えていたので、自分で「怒り」というツールをわざわざ選んで使っていたとは思いもしませんでした。
しかしその事実を認め、怒りの感情をコントロールするトレーニング(怒りの記録を取る)によってほんの少しずつですが「怒らない育児」が出来るようになってきました。
その結果子ども自身も様々なことに興味を持ち自ら行動することが増えてきて、少しずつですが主体性が身についてきたように思います。